南相馬修道院からの便り 「私たちの共に暮らす家」である地球 ―核廃棄物の保管―
遅い梅雨が終わり、暑い熱い夏がやってきましたね。 夏が来る前に猛暑! 毎年毎年、最高気温の記録更新が発表され、氷河が消えていくニュースも珍しくなくなりました。 この「地球が沸騰する」という言葉も聞かれます。 「私たちの 共に暮らす家」である地球はどのようになっていくのでしょうか? 暑さから少し気持ちを涼しい春に切り替えてみましょう。 季節外れの4月の事ですが、小高では4月初旬ごろ、桜が満開を迎えます。 隣の町の浪江町津島地区で、桜巡りのイベントがありました。 津島地区は放射線量が高く、今も帰宅困難区域が地区の98.4%、 つまり津島地区のわずか1.6%だけが除染されて、居住可能になったところです。 バリケードが張られた道路、家屋などを久しぶりに見ました。 桜や新緑で本当にため息が出るほどの美しい山道をドライブして、 もう満足だからこのまま帰ってもいいよと冗談を言いながら着いた先に、 バリケードを見つけてちょっとショックでした。 まだこんな所があるの だ!!と。 (写真は役場と復興住宅) 津島地区は、山々に囲まれた本当に美しい地区です。 気温も少し低く、桜は3分咲きでした。 新しく建てられた町役場の支所のすぐ隣に、復興住宅が10戸建てられて、すでに9戸が入居済みとのこと。 でも常住しておられるのは2、3軒で、地元の人の多くは避難先から通っておられるそうです。 元の家をリフォームして住んでおられるお宅はほんのわずかとのこと。 津島地区は津波もなく壊れた家は多くなかったとのことです。 もちろん屋根などが崩れたり家具がこなごなになったりした家屋はあったようですが、 住めない状態ではなかったようです。 3.12の原発事故で20キロ圏内の避難指示が出され、小高や南相馬の人たちが避難してきたとき、 津島地区の人たちはその世話に追われたとのこと、避難所を開設し、知り合いの人たちを引き受けました。 小高の人たちは着の身着のままで避難してきたので、着るものや毛布などをかき集めたそうです。 政府からも県からも何の情報もなく、不安の内に13、14日と過ごし、15日の大爆発が起こりました。 ここは山に囲まれている地域で、津島地区は風向きによっては、 放射線量が非常に高いというので避難指示が出され、急遽住み慣れた故郷を追い出されることになったようです。 この津島地区は、戦後、満蒙開拓団から帰った人たちが、 自分たちの土地を求めて、山を開拓、開墾して作った地域です。 自分たちのおじいさんから開墾の苦労話を聞いて育った人たちの土地に対する愛着は大変大きいと感じました。 その土地を、目にも見えず匂いも色もない放射能汚染によって追い出されることへの怒りはいかばかりかと強く感じました。 話は変って、核廃棄物の保管についてー各地で調査受け入れ賛否が話題になっています。 フィンランドの場合(2024年4月2日福島民報誌) 核の廃棄物処分場に地下450メートルの岩盤の洞窟(オンカロ)に約100本のトンネルを掘って、 10万年保管する計画が進められているようです。 その頃は誰も生きていないので確認のしようがありません!! 「岩盤は20億年前にできたもので、とても安全だ」と事業者は言っているとのことですが、 大きな地殻変動な ど地球規模での災害などがあれば、責任はだれがとるのでしょうか?? 本当に素 晴らしい方法だと言えるのでしょうか? 最終処分ができないものに、人間が手を付けてよいのでしょうか、私は疑問を感じます。 自分たちの作り出した物の処分の方法を開発して、 新しいことを実践していくのが真のやり方ではないでしょうか? しかも人間の命を左右するような重大な事柄に、 「後はどうにかなるでしょう」といったようなやり方がまかり通る在り方は本当に危険です。 日本では、最終処分地候補に九州の玄海町、北海道の寿都町が名乗りを上げているそうです。 東京電力福島第一原発の廃炉作業のデブリ(溶け落ちた核燃料)の 取り出しで出る廃棄物の処理はどうなるのでしょうか? 今はまだデブリのひとかけらも取り出せていない状況ですが、 取り出してもその核物質を格納する容器、 その容器を保管する施設のめどはたっていないようです。 この写真は東京電力福島第一原発の廃炉作業で、 2号機の原子炉格納容器の燃料デブリの取り出しに活躍するアームロボットの写真です。 伸ばした状態で全長22メートルもあります。 今まで何機ものロボットを投入して、失敗しています。 今度は成功するでしょうか? 試験的取り出し着手は、今年の10月ごろの予定だそうです。
この地震大国日本において!!10万年保管しておくことが現実的に考えられるのでしょうか? 今日はここで筆を止めます。皆さんお元気でお過ごしください。 援助マリア修道会 南相馬修道院 北村令子
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