南相馬修道院からの便り  「地域創生 - 着実に前進?」

汚染水海洋放出について2回連続でお話ししたので、今回は少し話題を変えます。
「福島の今」がテレビや新聞でどのように伝えられているのか、他の地域の報道は分かりませんが、
福島の新聞でさえこのような伝え方しかしないのだから、他の地域は押して知るべしということでしょう。
下記の記事は、「福島民報」の2024年3月6日の新聞記事の抜粋です。
避難区域の復興拠点の解除で、地域創生が着実に前進しているように感じられますが、
復興拠点はほんの小さな区域で、全体からすると小指の先ぐらいと言えるほどのものです。
新聞記事の図では、少しわかりにくいと思いますが、


浜通り:地図上の桃色の区域がまだ帰還困難区域。
(飯舘村の一部、南相馬市の一部(小高区の山)、浪江町、双葉町の大部分、大熊町、富岡町の一部。)


帰還困難区域の中で、帰還希望者の宅地や農地、墓地等の除染をし、
避難指示解除を可能にする「特定居住区域」を設定して帰還を促す計画です。
地図上の黒い太線で囲まれた区域が、すでに避難指示が解除された居住可能地域です。
帰還しても、現実的には、医療機関や生活に必要な店舗などがなければ、生活が成り立ちません。

このような報道を鵜呑みにしていたら、福島はとっくの昔に復興して、普通の生活に戻っていると思うでしょう。
浜通り以外の地域はまったく関係ないとは言えないのですが、今では平常に生活できています。
放射線被害は広範囲であったので、福島県全域に、心理的、精神的、経済的な後遺症を抱えておられる住民は多いと思われます。
生業の被害も多大なものでしょう。

汚染土・核廃棄物は現在大熊町と双葉町にまたがる広大な中間貯蔵施設に埋蔵保管されています。
最終処分地を30年後(2045年)には県外に移す約束になっていますが、引き受けてくれる県は今のところゼロです。

5000ベクレル以下の資材化された土を、飯舘村の長泥地区などで農地として実証実験しています。
(2023年11月号で紹介。トルコギキョウ、稲、トウモロコシなどの栽培)
そして、東京新宿御苑などでも利用する案が検討されていますが、住民の反対で実施できていません。
南相馬市でも、道路工事の底の部分に資材化再生土を使う計画がありましたが、反対の声で頓挫しました。

中間貯蔵施設は、国が最終処分場に受け入れられるまでの中間の施設として地主と契約しているので、
大熊と双葉の地主は、国が約束を反故にすることを恐れています。
全国の知事による汚染土の引き受けについての回答は賛成無しということで、
今のところ汚染土の引き受け手がなく、行き場がないということです。

国が約束した30年後(2045年)は20年後に迫っています。
国はどのように地主さんと対応するのでしょうか?



少し重い問題で、頭がだんだん重くなってくるので、ここで一息入れましょう。
3月末ごろ、少し春めいて生暖かい夜のこと。カリタス南相馬から夜8時ごろ、
小高の修道院に車で帰っていた時、ライトの先をパッと横切るちいさな動物がいました。
「あっ猫かな??」「いや、タヌキでないか?」

2、3日後、今度は逆方向からパッと横切るちいさな動物。
「この間と同じヤツだね!」「狸だよ。かわいらしい子タヌキ!!しっぽがふさふさで、ふかふかしたチッコイ、かわいい!! 」
「猫とおんなじで、引き返すことができないんだね。まあ轢かなくてよかった!!」
「狸は、ネコ科かね??猫とおんなじで前に突進するしかないみたいだから。」
「ネコ科??キツネはイヌ科だと思うけど。タヌキは何科かね?」と、
車の中でああでもない、こうでもないと、たわいのない会話をしながら帰りました。


帰って、スマホで調べてみたら、何と、タヌキはイヌ科ですって!!!犬ってイメージではないですよね!
皆さんご存知でしたか?私たちの無知をさらけ出したようですね。

今日はここまで、皆さんお元気で! 

援助マリア修道会 南相馬修道院 北村令子




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