南相馬修道院からの便り  「海はすべてのいのちのお母さん」

4月に続いて海の話をします。小高にある相馬藩藩主の菩提寺、同慶寺の住職、
田中徳雲さんの処理水の海洋放出についてのお話の概要。


(3.10いのちの行進:村上海岸で、徳雲住職がひれ伏して祈る姿)

海はすべてのいのちのお母さん…でしょ?
それなのに、ごめんなさい・・・。

福島原発事故の汚染処理水が、海に流され始めました。地元ではだれも積極的な賛成はしていないのに・・・。 
ALPSで処理しても、通常の原発排水とは違い、原発事故後の汚染水であり、処理しきれない放射性核種の種類も量も多く、
希釈するから許されるという問題ではないと思います。
 
想像してみてください。これから30年以上、流し続けるのですよ。
今はまだ始まったばかり。プランクトンが汚染され、海藻類が汚染され、それを小魚が食べ、さらには大きな魚が食べ、
長い時間をかけて放射能が生体濃縮された魚を、最後に人間が食べるんです。
影響が出始めるのは5~10年後、問題になるのは20年後ではないでしょうか?
もちろんそうならないに越したことはないと思いますが、万が一にでもそうなってからでは遅いと思います。他にも方法があるはずです。

これ以上、海を汚さないでほしい。
穢さないでください、苦しめないでください、いのちの海を。

水俣を忘れましたか?
それとも、自分たちさえ良ければ、一部の人は犠牲になっても仕方がないとでも?

本来、世界全体が幸せでなければ、個人の幸せはありえません。
海や自然、そこに宿る様々ないのちを軽視するから、その影響が気候変動になって結局我々に還ってきているという見方もできます。
誰も責任をとらないし、とれないのだから、お願いだからもう少し優しくいきましょう。今のそのやり方は、あまりにもこころがなさすぎるのです。
海はみんなのもの、環太平洋上の小さな島々の人たちにも、説明や謝罪はしたのでしょうか?

隣人とうまくやっていくための最低限度のルールとマナー、私たち出来てますか?

「われらは平和を維持し…国際社会において名誉ある地位を占めたいと思う」
「われらは、いずれの国家にも、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」
「日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う」日本国憲法 前文 でしょ?

 各々、しっかり考えていきましょう。
 あなたの人生、あなたが主人公です。
 その声を、自由な方法で、少しでもいいので表現してみてください。
 自分らしい方法で。なるべく楽しみながらすることが大切です。
 そして続けることが大事です。どうぞよろしくお願いいたします。

2023年9月15日

福島県南相馬市小高区 同慶寺住住職 田中徳雲 




続いて、私見として述べられた部分の要約です。
「更に詳しく(あくまで私の自由な意見です) 
私は地元なのでよくわかっているつもりなのですが、本当は土地はまだまだありますよ。
陸上保管するつもりならいくらでもできる。まず原発の敷地内をもう一度整理整頓する時だと思います。
Googleマップで敷地内を見れば、整理整頓すれば空き地が増えるのがわかるでしょう。
7、8号機の増設予定地も空いています。中間貯蔵施設内も広い敷地が空いています。

最近、近畿大学、京都大学で開発されている、多孔質の性質を使って効率よく分離する方法で、
ALPS処理したものをさらにその装置で分離したらよいのではないかと思います。
私は海と森のバランスを整えるお手伝いがしたい。人間が破壊し穢してしまった自然生態系にはケアが必要です。
地球は水の惑星、水は循環するいのちそのもの、あなたの体も水でできています。だから海はすべての命のお母さんでしょ?
日本はなぜ、国民を無視して、政府が勝手に決めるのでしょうか?民主国家ではあり得ないことではないでしょうか?

みなさんは、この問題を正しく理解していますか?
分かっていないのに、分かったふりをしているのですか?
分かっているのに、なぜ知らないふりをしているのですか?
黙っているのですか?それは責任の放棄ではないですか?
みなさんの忌憚のない意見を聞かせてください。」

今日はここまで、皆さんお元気で! 

援助マリア修道会 南相馬修道院 北村令子




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