南相馬修道院からの便り  「大蛇伝説」


(小高のマンホールの図柄)

明けましておめでとうございます。
今年は辰年。十二支の中でもっとも縁起の良い干支だそうで、様々な願い事がかない、
物事が良い方に導かれるとされています。
世界各地の戦争・紛争が一日も早く終結し、平和が訪れますように!!

干支の字は「辰」と書きますが、龍、竜といろいろな字がありますね。
竜は「登竜門」や「竜王戦」など高みへとチャレンジする意味があります。
龍は「天に上る」という架空の動物。霊獣ですね。

小高の町にあるマンホールには龍でなくて、大蛇が描かれています。
大蛇は龍と違って、良いことにはあまり使われません。
聖書の最後の書である「ヨハネの黙示録」には、神の子が生まれたら食い尽くそうと待ち構える悪魔の化身として描かれます。(黙示録12章)



小高には日本三大摩崖仏のある大悲山という遺跡があり、
そこには大蛇伝説があります。マンホールの蓋に描かれているのがそれです。
主人公は大蛇ではなく、橋の上に小さく描かれている盲目の琵琶法師です。
ここでも大蛇は悪者です。

人間に化けた大蛇が、目の不自由な琵琶法師に約束します。
「小高郷に大雨を降らせて池にするが、そのことを殿様に黙っていたら、
おまえの目を開け、殿様にしてやろう」と。
琵琶法師は、その約束に心を惹かれますが、小高の住民たちのことを考え、
自分一人の命で多くの人が救われるのなら捨ててもよいと、大蛇のたくらみを殿様に伝えて殺されてしまいます。
そのことを知った殿様は家来たちに大蛇退治を命じて、それを果たすという伝説です。



その大蛇の角が落ちたところを角部内(つのべうち)、
耳がそぎ落とされたところを耳谷(みみがい)、琵琶法師が殺され琵琶が落ちたところを琵琶橋などの地名が小高に残っています。


小高工房の商品に、「大蛇もびっくり:小高ビーフカレー」、
「大蛇のわるだくみ:粒マスタード」など大蛇伝説からとったネーミングの商品があります。
小高には震災前には4 つの小学校がありました。
どの小学校でも大悲山に遠足に行った経験があります。
震災後、その遠足の話を持ち掛けると、大蛇伝説が必ず話題に上って、話が弾んだとのことで、
小高工房の廣畑さんはこの大蛇を商品の名につけたそうです。

先日、廣畑さんが「昨日はうれしいことがあったよ!酔っ払ったAさんが久っさしぶりにやって来て、
『一番に声をかけてくれたのが広畑さんだったよ!』」と言ってくれた。「しらふで言ってほしかったよなぁ~」と。
「恥ずかしくって、酔っぱらってでないと言えなかったんだよ。」とみんなで笑ったものです。


去年の小高秋祭りに駅前の広場で4 年ぶりの『大蛇巻き』(10mほどの巻きずし)のイベントがありました。
昭和30年代には800mもの大蛇巻きでギネス記録に載ったそうです。

このイベントができたことは、みんなの大きな喜びでした。
海苔が足りなくなったり、具材が不足したり、簀の子が足りなかったり、
いろいろなハプニングがありましたが、皆が大喜びした行事でした。
辰が大蛇に化けてしまい、新年早々の脱線でした。今年一年が思いやられますね!!

今日はここまでとします。
皆様お元気で、物価だけでなく、霊的にも上昇気龍に乗って良い年になりますように!!

援助マリア修道会 南相馬修道院 北村令子




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