南相馬修道院からの便り  「野馬追」と「飯舘・長泥地区避難解除」


(写真は昨年の小高神社での騎馬武者の出番待ちの様子)

恒例の野馬追は、例年7 月の最終の週末に行われます。
しかし、最近の7 月の暑さが尋常でなく、馬も騎馬武者も体力的に大きな負担がかかるので、
今後もっと気候の良い時期に変更しようという動きがあります。五月の連休あたりに移動するかもしれません。

今年は、4 年ぶりに何の制限もなく一連の行事が行われました。詳しくはインターネットをご覧ください。

7 月29 日(土):出陣・宵乗り

7 月30 日(日):本祭り(祭場で甲冑競馬・神旗争奪戦)。夜は小高での火の祭り(篝火、花火)。

7 月31 日(月):野馬懸(小高神社でお小人【こびと】による裸馬捕縛、神社に奉納)お小人と言われる人によって、神に奉納する裸馬を捕縛する。

馬が大好きな私は、コロナ以前は、通勤途上で朝練の“お馬さん”に会っていましたが、
コロナになってからぱったりと会わなくなって、寂しく思っていました。途中にある厩舎も閉鎖されています。
それでも時々、お馬さんを運ぶ車に出会い、小窓からお馬さんの優しい目に合うととてもうれしいです。


話し変わって、2023年5月1日に12年の長い間帰還困難区域だった飯舘村の長泥地区の解除が行われました。
福島県の復興拠点として指定されていた地域(写真の地図の青い部分)がすべて解除されたことになりますが、
帰宅困難区域はまだまだ沢山あります(黄色い部分は依然として帰宅困難区域)。
飯舘村は原発から40㎞以上離れていますが、風向きで放射線量が高く全村避難となった地域です。
草ぼうぼうの荒れ地と想像していましたが、昨年10月の視察の折、それほどでもありませんでした。
避難した人々は、故郷に帰りたい気持ちが強く、避難先から住民の有志が草刈りに通っておられたそうです。
飯舘村は日本の美しい里山100選の10本の指に入るほど美しい村と聞いています。
住民の熱い思いが、公園を含む復興拠点以外の帰宅困難地域の解除を勝ち取り、
道路のコンクリート舗装をするなど、減線量策を講じたとのことです。

昨年10月に長泥地区の視察に行きました。
福島県全域からの放射線量が8000ベクレル以上の高い汚染土が中間貯蔵施設に運ばれるのですが、
8000ベクレル以下のものは、金属や枯れ木、石などを取り除いた土を中間貯蔵施設でなく、
実証実験場(長泥地区がその一つ)に運びます。



(トルコ桔梗の栽培)

飯舘村の長泥地区では、そのような土の上に、他の地域から運んできた汚染されていない土で覆って、
道路の下に埋めたり、水田試験場、花(トルコ桔梗など)の栽培の実証実験をしていました。
農家の人は一日も早く帰宅したいと、毎日避難先から通って、農地の再生を試みていました。
トルコ桔梗の栽培や、水田の改良など、その郷土愛には心を打たれます。
解除を受けた多くの住民が希望をもって前に進んでおられる姿には、私たちも力づけられます。
この先、どれくらいの人が帰還し、新しいコミュニティーが生まれるのでしょうか。
頑張っておられる住民の方々を祈りで応援してください。

また今年も長泥地区の視察が計画されているので、いつか、その後の様子を報告します。
今日はここまでとします。皆様お元気でお過ごしください。

援助マリア修道会 南相馬修道院  北村令子




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