南相馬修道院からの便り。

8月1日に東京電力福島第一原子力発電所の見学をすることができました。
東電の主催する見学会が、昨年の4月から予定されていたものが、
コロナの感染拡大によって3回4回と延期になっていて、もうあきらめて申し込みを撤回したのですが、
カリタス南相馬の南原さんから、「東電主催でなく、
北海道のKさんから経済産業省の方のつてで視察会が計画されていて、2人分空きがあるよ。
ガクタン司教様も参加されるよ」と声をかけていただき、参加させていただきました。
(車に乗れる5人が定員でした。ラッキー!)


廃炉作業から出てくる汚染水のトリチウムを除く62種類の放射能(ストロンチウム、セシウム、・・・)を
多核種除去設備で除去処理をして、 なおかつ水と分離できないために残るトリチウム(三重水素)を含んだ
処理水のタンクが敷地内に所狭しと並んでいます。
写真の私たちの大きさと比べて見てください。その大きさを実感しました。
このタンクが1060基(1基1億円以上だそうです)以上たまって、国際原子力委員会IAEAが無害の承認をしたので、
海洋放出を来年春以降に実施に向け準備しています。
地元の漁業者や住民の風評被害増幅の懸念による反対の声を押し切って!!
住民の理解なしに何もしないと約束しながら!!

それから経産省の案内役の方(元東電の社員で、事故当時のことをよく知っておられる方)、から
5号機建屋に案内していただきました。
5号機は爆発した2、3、4号機と同じ大きさ、造りなので、爆発した建屋の中に入ったと同じなのだそうです。
服装はズボンと長袖で来るようにと言われていましたが、
5号機の建屋に入るとき、厚手の靴下3足、綿の手袋、ナイロン手袋、軍手それぞれ1組、青いナイロン帽子、
ナイロンの防護服1着をナイロン袋に入れて、各部署に入るたびにそれぞれを身に着けることになります。
それぞれの部屋に入るたびに鉛のように思い長靴をはかされて、
一番大変な所には靴下3枚重ねてはいて、手袋も3枚重ねて、
青いナイロン帽子を着け、防護服を着て、ヘルメットをかぶって入りました。


この写真がそうですが、私たちの頭上にある突起の上は15センチ角4mの長さの燃料棒です。
爆発によって私たちがいるところから下へ溶け出した燃料が落ちていったのだそうです。
原子炉の底に溶け落ちて、溜まっている燃料デブリを取り出す作業を今、
東電はロボットアームを使って必死でやっているわけですが、なかなかうまくできないようです。
ほんのひとつまみ取り出して、分析し、どんな容器に保管できるのかどこに置くことができるのか未解決です。


この写真のダイダイ色の丸い穴が溶け出した燃料デブリを取り出すために、ロボットアームを差し込む入り口です。
中は線量が非常に高くて、人間が入って作業できる環境でないのでロボットに頼らざるを得ません。
この廃炉作業のために、日本の最先端技術が駆使されています。
ここ浜通りはそういう意味でも日本の研究機関が集中するところとなっていくことでしょう。
国際的研究機関を浜通りの居住不可の地域に建設を予定しているようです。


最後に処理水のサンプルを見せてくださいました。私が手に持っている瓶に
処理水(62種類以上の放射性物質を取り除いた後のトリチウム汚染水)が入っていて、
私たちの目の前で、線量計で測って、全く普通の水と変わらないことを証明して見せてくださいました。
処理水は無害だということを認識してもらうための東電と経産省のデモンストレェーションということでしょう。
今回は第一原発現場視察の報告でした。

今日はここまでとします。  
皆様 お元気で!

援助マリア修道会南相馬修道院  北村令子






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