南相馬修道院からの便り。


毎年7月の最終週の土曜日、日曜日、月曜日と三日間、相馬地方の最大行事である相馬野馬追が、
今年は7月23(土)、24(日)、25(月)とコロナのために3年ぶりに通常の形で行われました。
ここ2年間は無観客や神事のみといった形では行われてきましたが、
観客を入れての通常の形は3年ぶりです。

平将門が軍事演習に行ったことが始まりという1000年以上続く一大イベントです。
神事に関しては国の重要無形民俗文化財にも指定されていて、
毎年国内外からの観光客を集めていて、
震災の時にも何らかの形で続けられたと聞いています。
相馬氏の根拠地である相馬市の中村神社と南相馬市の小高神社をむすぶ沿線は騎馬武者の行列、
今年はいつもより少し少なくても、354騎の騎馬が出場するとのことで、見事な行列です。
今年は総大将を14歳の相馬言胤としたねさんが勤めるとのこと。
前日の22日に元服式を執り行って、初陣です。
23日は小高神社で、御発れん式出発式、
神社での祈りとほら貝の礼螺奉吹れいがいほうすい、神輿と騎馬の行列。

24日(日)には、原町の祭場で甲冑競馬が行われ、午後、帰り馬の行列が小高駅前通りを通り、
小高工房では騎馬に水をあげるので、私たちも参加しようと、午後2時のミサからとんぼ返りしました。
そして夜は火の祭りで、小高川の堤に2000灯のかがり火がつけられ、
4000発の花火がうちあげられました。小高川の堤の特等席から眺めました。
25日の月曜日、最後の日は小高神社で裸馬を捕えて神様に捧げる神事が行われました。



7月23日(土)野馬追初日、小高神社から出発した行列です。
梅雨のような長雨が続き、野馬追のお天気が心配されていましたが、
3年ぶりの待ちに待ったこの日は快晴で気持ちの良い日でした。
私たちもこの地域の人々の喜びに心を重ねて喜びを共にしました。


●写真左:7/24帰り馬行列などを終えて帰る馬に水を ●写真右:7/25小高神社神様に奉納する馬を捕える野馬懸け国指定重要無形民俗文化財



話変わって、小高の若者たち多くは県外からの移住者の活躍を紹介します。

●NCL南相馬シンブン 2020年 9月号より

小高には、ネクストコモンズラボ(NCL)という町おこしのため、
県外から移住してきた若者達が、
地域の課題や資源に焦点をあてて、福島の復興のためにプロジェクトを推進する南相馬市の事業の拠点があります。
7月号でちょっと触れた、ホースシェアリングもそのティームの一つです。
NCLは若者のいない南相馬市に、新しい起業家を 呼び込み、町の活性化を図ろうというものです。

・ホースシェアリングは“馬のまち”南相馬市で、馬を身近に感じられる乗馬の体験や観光に寄与するプロジェクト。
相馬野馬追を実際に見て、相馬と言うだけあって、この地域は馬の文化、馬に親しみ、
馬を愛する地域で、町おこしのためにも、うまく利用して活気づけようとの取り組みです。

・アロマセラピーで心と体の緊張をほぐし、幸せな人生を送れる社会をと活動する女性。

・南相馬の魅力的なヒト、モノ、コトを使って社会の活性化のためのローカルマーケーター。

・地域の困りごと、高齢者のIT技術の助っ人、
地域のシステムジニアとして活動するローカルシステムエンジニア小高テック工房。

・Artviva:デザインとアートで南相馬市をクリエイティヴに。

・ハッコウバ南相馬市で1000年続く酒造の復活を。酒蔵を立ち上げ、小さなバーも併設。

・サーファーヴィレッジ:サーフィンの聖地南相馬市沿岸部の価値の創造。

・Way Way :無人駅の小高駅を世代や地域を越えて繋がる場にする、
前代未聞の「駅を使って遊ぶ」場づくり。

などなど、沢山のプロジェクトが活動を広げています。
小高工房の裏手にパイオニアヴィレッジという建物があって、そこに小高ワーカーズベースがあります。
南相馬市で新たに起業をする人たちの支援、相談をする団体で、NCLもその協力団体です。
でもこれは私の思っていることで本当はどこがどうつながっているのかよく分かりませんが、
とにかく全国から若者がこの地域・福島を活性化するためにやって来て、活動してくれていることは感動的です。
本当に若者の姿を目にすることが少ない私たちにとって、
NCLの人達と出会えることは新しいエネルギーをいただく機会です。


浪江町や双葉町などにも若い世 代が町おこしのために移住してくるとの報道がありました。
楢葉町は子育て応援がとても行き届いていて、子供を持つ家庭、
しかも乳幼児を抱 えている家庭が増えていっていると聞きます。
子育てしやすい町づくりといって、若いお母さんたちのグループがお互いに助け合って、
当番で子供の面倒を見て託児所のようなことを仲間内でしていて、それが大変好評で、
楢葉の町に若いお母さんたちが集まるようです。
こんな報道を聞くと、日本の若者もまんざら見捨てたものではないなと思います。
いえ見捨てているているわわけではないのですが、見直しました。

原発被害を被った町は、地元の人達だけの力では復興はかないません。
全国から若者が、若者とだけに限定ではありませんが、
志のある方によって手助けをいただかなければ、復興はできないと思います。
復興は元に戻すことでなく、新し い創造でなければならないと思います。
高齢化の進んだこの地域に、伝統ある農業・漁業・酪農・林業・工芸などあらゆる分野に秀でたこの地域の宝を継承し発展させ、
新しいものに作り上げていくためにも、全国から移住して、共に再創造の時代を築いていただきたいと切に願います。
素晴らしい大自然と歴史ある文化、
何よりもこの地域の人々の優しさとすべてを受け止める受容の懐の深さの魅力は私の心をひきつけます。
移住までしなくてもいいですが、この地域のことをもっと多くの人に知って頂きたいと思います。
原発被災地としてだけでなく、日本の文化 ・心のよりどころとしての地域の魅力を知るためにも。
是非一度足を運んでください!

今回は少し長くなり申し訳ありません。今日はここまでとします。皆様お元気で!!

援助マリア修道会南相馬修道院  北村令子






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