南相馬修道院からの便り。 2021年も残すところ1か月となりました。この1年コロナ感染症に振り回された日々でした。 でも皆様お元気で無事にこの年を締めくくれることを感謝いたしましょう。 今年の秋の味覚を味わわれたでしょうか?私はキノコ類が大好きです。 子供の頃は近所の山に登って松茸をよくとっていました。 とった松茸をすぐ松葉などをかき集めて火で焼いて、その場で食べることもありました。 昔は誰が入って取っても何も言われなかったのに、いつの頃からか縄張りされて、 勝手に山に入って松茸を取ってはいけないと叱られるようになり、 やがて松茸は高嶺の花めったに口に入らないものとなりました。高度成長期、 経済優先で山の手入れもされなくなって、山が荒れ放題に、そして松茸は希少価値のものとなり、 庶民の手の届かないものとなったのです。 ここ福島県では山が豊かで、松茸はあまり見かけないのですが、いろんなキノコが出回ります。 いのはな(猪鼻)おこわ、舞茸ご飯とかキノコご飯がよく作られます。 先日ある方から舞茸おこわのおにぎりをいただきました。とってもおいしかったです。 猪鼻はイノシシの鼻のような形をしたキノコ(写真)で香りがとても良い香茸の種類だそうで、 この辺りではたくさん採れる代表的なキノコのようです。ところが、ここ小高の山、 原発から30キロの原町でも山は除染されていないので、放射線量が高く、 特にキノコ類は放射線を吸収する性質があるようで、食用に採ることはできません。
小高区産 イノハナ(猪鼻(生)) 10,646Bq/Kg 厚生省で定める食用と 葛尾村産 イノハナ(猪鼻(生)) 30,772Bq/Kg する場合の基準値は、 小高区産 アミタケ(生) 757Bq/Kg 「100Bq/Kg未満であること」 原町区産 アミタケ(生) 179Bq/Kg (1キログラム当たり 小高区産 ハタケシメジ(生) 119Bq/Kg 100ベクレル) 小高区産 ホウキタケ(生) 10,920Bq/Kg とされています。 2021.9.27現在(茹でれば少し低くなるようですが、それでも基準値にほど遠いのです) 原発事故から10年半が過ぎても、キノコ類には注意が必要なのです。山が除染されていないためです。除染され開墾された畑で栽培されている 他の米・野菜などは、厳しい検査を通過して出荷が認められています。何度も言うように福島県産ほど安全安心な食品はないと言ってもいいと思います。 だんだんとクリスマスが近づいてくると、ここ小高の街にはメインストリートの街灯やいろんなところに イルミネーションが施され目を楽しませてくれます。上の写真は商工会議所(交流館)の建物全体を光で覆っています。 避難区域が解除され、最初に小高に帰ってきた方の印象は、明かりがない、においがない(普通の生活があれば、みそ汁のにおいなどがある)、 音がしない、しい~いんっとしているなどの感想を述べておられました。私たちがここ小高に来て何ができるだろうか?と問うたところ、 「明かりをつけてください。一緒に住んでいるよ!」と、答えてくださった方がありました。 明かりは人の心を本当に勇気づけるものです。キリストが「私は世の光、あなたたちも世の光」と言われ、十字架を通って世界の上に光を掲げられました。 イルミネーションはこのシンボルなのでしょう。私たちの修道院からすぐ近くに、小高交流センターという施設があって、 その中庭や通路あらゆるところにイルミネーションが施されていて、夜は親子連れが楽しみに来ています。 この地の人々がこのイルミネーションにとても強い想いを抱くのが分かるような気がします。私がここに来た頃は、 まだ車で通る道に明かりのともった家が少なく真っ暗だったので、闇に一つの明かりが見えるとホッとしていました。 光は人々にとって復興の希望なのです。心の復興も「われらと共に居ます神である」キリストの光に照らされて開かれていくよう祈ります。 ●交流センターの建物の間の空間に ●上の光のトンネルの中にある一つの場面 ●交流センターの芝生の中庭 ●交流センターの通路 今日はここまでといたします。よいクリスマスと新年をお迎えください!! 援助マリア修道会南相馬修道院 北村令子
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