2018年3月19日 南相馬修道院設立

南相馬市小高区にあるこの小さな、そして大きな修道院は、神様とスタッフ、ボランティア、原町教会信徒代表、
マリアの宣教者フランシスコ会の姉妹型、地域の方々、そして私達援助マリア会3人のメンバーの約30名の参加を得て、
CTVC(東京ボランティアセンター)代表の東京教区補佐司教幸田司教様の司式により、修道院創立祝福のミサが捧げられました。


まず修道院祝福に先立って司教様は、震災8年目に入った小高区のこの土地に住んでいた人々は大きな苦難を強いられ、
7年経過した今でも人間復興・心の復興には様々な課題があり、この状況の中でこの地で生きる選びをした援助マリア会会員を祝福してくださるように、
またこの家の中心である聖堂・祭壇を祝福してくださるように、と祈ってくださいました。そして、この家が聖体の前で、聖母マリアと共に、
苦しむ人々と連帯しながら祈るまことの祈りの家となりますように・・・と祈り、各部屋の祝福が行われました。



ミサの説教においては以下のようなお話をしてくださいました。

『聖ヨセフの祭日。ヨセフはマリアの夫としてイエスを養い育てた人。ヨセフといえば、どうしても「男は黙ってサッポロビール」という言葉を思い出す。
三船敏郎が出ていた昔のテレビCMです。ヨセフは聖書の中で一言もセリフがない。マリアが自分とは無関係に聖霊によって
身ごもったことを知ったけれど、そのマリアを受け入れる。一言も言わない。ヨセフはとにかく目立たない。イエスの誕生と幼少年時代の
物語に登場するけれど、いつもマリアの方が目立っていて、ヨセフは目立たない。
でも「目立たないけどそこにいる。」それはとても大切。援助マリア会のシスターがこの小高にいる、ということは大切。
目立つ必要はない。ここにいることが大切。

ヨセフはそこにいる。いるだけでいいとも言えるが、マリアと幼子イエスを守る。ヨセフの働きが一番はっきり現れるのは、
幼子の命をヘロデ王が狙っていると知って、マリアとイエスを連れてエジプトに避難したこと。今で言えば難民のよう。大変な苦労があったでしょう。
その中で弱く小さな命を守った。ここに住むシスターたちにとって特に大切な働きは、本当に弱い人、小さい人に寄り添うこと。
孤立している人に目を注ぎ、ともとなること。この点でも聖ヨセフに倣ってほしい。

ヨセフの役割はもう一つあります。ヨセフはダビデの家系に属していた、とマタイ福音書もルカ福音書も伝えます。その時代、
ダビデの家系から理想的な王である救い主が生まれると考えられていました。ダビデの家系とイエスを結びつけるのが、
ヨセフの大切な役割だったとも言えます。

ここ小高にも大きな伝統があります。鎌倉時代から明治まで続いた相馬氏が最初に作った城は小高城で、そこはこのすぐ近くですが、
小高神社として今も野馬追の神事の中心にあります。相馬家代々の菩提寺は私達も馴染み深い曹洞宗同慶寺です。
憲法学者鈴木安蔵を生んだのはこの小高ですし、島尾敏雄、埴谷雄高という文学者のルーツでもあります。
この豊かな宗教的文化的伝統の中に、この修道院が生まれました。ヨセフがダビデの家系とイエスを結びつけたように、
この小高の伝統とイエス・キリストの福音を結びつけるのが、この修道院、シスターの使命でもあると思います。

聖ヨセフの祭日にこの祝福式のミサを行うのは偶然ですが、でもそこに不思議な意味を感じています。
ヨセフのように「目立たないけれどそこにいる」ということ。ヨセフのように「弱く小さな命に寄り添う」こと。
ヨセフがダビデとイエスをつないだように、「この地の伝統とイエスの福音をつなぐ」こと。いろいろ大変なこともあるでしょうが、
イエス、マリア、ヨセフの聖家族が共にいてくださり、この修道院とシスターたちを支え、導いてくださいますよう、一緒に祈りましょう。」

南相馬修道院のメンバー3人が揃ったのは、4月15日(日)夕方でした。毎日仕事の合間を縫って少しずつ片づけられてはいるものの、
修道院の中はまだまだたくさんの荷物、家具、道具が片付かないままでの生活が始まりました。7年間原発によって避難区域に指定され、
放置されていた建物ですから、生活していく中で予測できなかった出来事が発生したりの日々でした。ボランティアに来られている方の協力で
4月24日やっと階段に手すりが付きました。そして援助マリア会が小高に住むことがいかに地域の人々、カリタス南相馬のスタッフ、
ボランティアの方々にとって喜びとなっているか・・・まるで巡礼地になったかのように、司教様はじめ、スタッフの方々、
関わってきた被災者の訪問などからその状況がわかりました。これからいろいろな方々の協力に助けられて、この地の住民となり、
寄り添いの奉仕に参加できることを願っています。地域の文化、歴史を大切にし、学びながら教えていただきながら、
南相馬浜通りに福音の種の芽生え、「いのちの交わり」と互いのいのちの交換ができるようになれば・・・
既に存在している神の国の再創造を生きることができるのではないかと願っています。




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